墓じまいに「デジタル墓標」の活用
墓の相続
お墓の相続は民法で定められる「祭祀財産」に該当し、墓の維持、管理、周忌やお盆、彼岸などの法要祭祀にかかる費用は、祭祀主催者が全て負担しなければなりません。(相続税は不要です) つまり、お墓を継ぐということは、経済的に大変な負担になるのです。
一方、墓じまいは、祭祀民法では、相続後その祭祀財産を自由に処分できる規定も設けられています。
墓じまい増加の理由
墓を更地にして管理者(寺、墓地など)に戻すことを墓じまいといいます。そもそもの墓じまいの意味は、後継者が途絶えてしまい無縁仏となった墓を、墓の管理者が撤去することでした。
墓の土地は、霊園や寺院の所有地であり、自分の土地でなければ、墓を立てている土地を借用しているに過ぎません。つまり墓の使用権を購入しているだけなのです。つまり、土地の管理料が支払えなくなれば、一定期間を置いて墓の使用権が取り消され、他の人に譲渡されていくことになります。
ひと昔前は、家長である長男が墓を引き継ぎ守っていくという風習がありましたが、核家族化や少子高齢化、結婚して家を出る(子供が女の子で結婚で苗字が変わり継ぐ家が変わる)、子供がない、継承者がいなくなってしまった、またお墓が遠方だったり、高齢のためお墓の管理やお墓参りするのが大変などの事由で、お墓を継承できずに墓じまいをするケースが年々増加しています。
永代供養墓の墓じまい
永代供養とは、お墓参りをしてくれるひとがいない、またはお墓参りに行けない人に代わって、墓じまいと同様にお墓を持たないことを前提として、遺骨を寺院や霊園に納めて供養してもらうことです。
永代供養は、故人を未来永劫供養できるというイメージがあります。しかし、現実には13年、17年、33年、50年、60年など寺院・霊園によって規定期間があり、一般的には、規定期間が経過し、その後の管理費が納められなくなると、一部例外を除いて最終的には共同墓地に移動、つまり合祀(ごうし)されます。(始めから合祀もあります)
近年では寺院・霊園も少子化で継続が難しい場合もあります。そういう意味では、公営霊園は、宗教に関係なく、民間よりも価格が安く、国が破綻することはないので一つの選択肢とも言えます。
また、自然葬と呼ばれる、自然墓標(海、山、空)とする散骨や樹木葬が国外も含めて人気です。自然葬の特徴は、自然がお墓であるため、そのものが永代供養であり継承の必要もありません。
「墓じまい」と「デジタル墓標」
お墓を所有する限り、どんな家族にも訪れるのが「お墓じまい」です。近年では、墓じまいを執り行うにあたり、遺骨の移動先は合祀墓・散骨・合墓・宅墓・樹木葬など多様化しています。
デジタル墓標は、写真・人生史・故人や一族の家系図などを含めた「お墓の記録」をデジタル化して保存するものです。最終的に「お墓じまい」に至ったとしても、このデジタル墓標を持つことで永続的に故人を供養・追悼できることができます。(手元供養墓のように遺骨格納できる場所を持つタイプもあります)
米国では戦没者や被災者の追悼など記念碑に使われるのがデジタル墓標です。追悼記念日などに、遠方からのお墓参りをサポートします。また、お墓参りに来られた方々がスマホでQRコードを読むことで、遠方から届けられた追悼メッセージ・写真を確認することができます。
※ 米国では、樹木葬霊園で自然葬儀の基準を満たしていない遺骨や遺体を引き取らない協会ガイドラインが有ります。環境保護を貫く姿勢を実践している霊園が多くあります。