承継
軌跡

(幼少期)

1918年、雪の降る師走の朝にちひろは三姉妹の長女として武生町橘で生まれた[2]。岩崎家は当時としては非常に恵まれた家庭であり、ラジオ蓄音機オルガンなどのモダンな品々があった。父・正勝はカメラも所有しており、当時の写真が数多く残っている。こども向けの本も多くあったが、それらはちひろの気に入るものではなかった。ある時隣の家で絵雑誌「コドモノクニ」を見かけ、当時人気のあった岡本帰一武井武雄初山滋らの絵に強く心を惹かれた。ちひろは幼少から絵を描くのが得意で、小学校の学芸会ではたびたび席画(舞台上で即興で絵を描くこと)を行うほどだった。