生前整理
- 神山さんは伝説の実業家である白洲次郎さんや「日本の知性」と呼ばれた文芸評論家の小林秀雄さんらに師事して、深い教養を育んだ。そんな教養人が心血を注いで集めたのが骨董品だ。自らの骨壺を事前に準備するほどのコレクターだった神山さんは、再発の発覚後、コレクションの整理も始める。
- 「品物はいずれも超一流品ばかり。その価値が受け継がれるようにと、懇意にしていた骨董店のかたに託したようです。
- 高価なものは誰が受け取るかで争いが起きたり、金額に応じて相続税が発生する可能性もあるため、神山さんのように生前に処分しておくのが最善策だ。
- 愛蔵品を惜しみなく手放した神山さんは、白洲さんが提唱した「葬式無用、戒名不用」という考えに共鳴し、自らもそのように話していた。
- 「神山さんは、『死んだら、ただの骨だよ』と、常々笑っておっしゃっていました。決して自分のことをひけらかす人ではなかったので、派手な芸能界で地味に見えたかもしれませんが、最期までスマートな生き方を貫いたかたでした」(佐々木さん)
- 妻への配慮と趣味へのけじめ──名優の終い方は、どんな映画やドラマのヒーローよりも男らしい。