背骨に見つかった良性の「神経鞘腫」 放置して大丈夫?
(朝日新聞2020年8月19日の記事より)
【答える人】谷口真さん 東京都立神経病院脳神経外科部長(府中市)
50代女性。昨年5月にMRI検査で背骨の腰あたりに良性の腫瘍(しゅよう)「神経鞘腫(しょうしゅ)」が見つかり、半年おきに2回検査を受けて大きさに変化なし。病院から以後検査は必要なく、脚のしびれなど自覚症状があれば受診するよう言われました。放置して大丈夫でしょうか。(岐阜市・Y)
【答える人】谷口真さん 東京都立神経病院脳神経外科部長(府中市)
50代女性。昨年5月にMRI検査で背骨の腰あたりに良性の腫瘍(しゅよう)「神経鞘腫(しょうしゅ)」が見つかり、半年おきに2回検査を受けて大きさに変化なし。病院から以後検査は必要なく、脚のしびれなど自覚症状があれば受診するよう言われました。放置して大丈夫でしょうか。(岐阜市・Y)
Q どんな病気ですか。
A 神経を取り巻いて保護するシュワン細胞からできた髄鞘(ずいしょう)が腫瘍(しゅよう)化したものです。中年の女性によく見られます。ほとんどが良性で、一般的にゆっくりと大きくなります。転移しないので影響は腫瘍の周囲にとどまります。
Q どこにできますか。
A 末梢(まっしょう)神経のどこでも発生する可能性があります。ただ筋肉など柔らかい組織のそばではよほど大きくならないと症状は出ません。骨に囲まれた空間にできると大きくなるにつれて周囲の神経を圧迫し痛みなどの症状が出ます。
Q 取り除けますか。
A ほとんどは手術で取り除けます。腰椎(ようつい)に腫瘍がある場合は全身麻酔をしてうつぶせで手術します。骨の一部をいったん取りはずし神経から腫瘍を切り離します。丁寧に作業すれば比較的容易です。後遺症もほとんど心配ないです。
Q 質問者は手術したほうがいいでしょうか。
A 腫瘍の大きさに変化がなく症状もなければ必ずしも手術は必要ありません。腰椎にある腫瘍の場合、周囲にある馬尾神経は圧迫に比較的強いので、症状が出てからでも手術して回復します。
Q このまま放置していいでしょうか。
A 質問者は画像検査による推定診断です。確実な診断には腫瘍の一部を採取する必要がありますが取り除くのとほぼ同じ手術が必要です。症状が出ないこともあるのでそのままにしておくのも一つの選択肢です。ただ良性の腫瘍とはいえ時間とともに大きくなる傾向があり、もう少し長い期間の追跡が望ましいでしょう。私の場合、疑われる時や手術の後も1、3、5年後の追跡検査をしています。
A 神経を取り巻いて保護するシュワン細胞からできた髄鞘(ずいしょう)が腫瘍(しゅよう)化したものです。中年の女性によく見られます。ほとんどが良性で、一般的にゆっくりと大きくなります。転移しないので影響は腫瘍の周囲にとどまります。
Q どこにできますか。
A 末梢(まっしょう)神経のどこでも発生する可能性があります。ただ筋肉など柔らかい組織のそばではよほど大きくならないと症状は出ません。骨に囲まれた空間にできると大きくなるにつれて周囲の神経を圧迫し痛みなどの症状が出ます。
Q 取り除けますか。
A ほとんどは手術で取り除けます。腰椎(ようつい)に腫瘍がある場合は全身麻酔をしてうつぶせで手術します。骨の一部をいったん取りはずし神経から腫瘍を切り離します。丁寧に作業すれば比較的容易です。後遺症もほとんど心配ないです。
Q 質問者は手術したほうがいいでしょうか。
A 腫瘍の大きさに変化がなく症状もなければ必ずしも手術は必要ありません。腰椎にある腫瘍の場合、周囲にある馬尾神経は圧迫に比較的強いので、症状が出てからでも手術して回復します。
Q このまま放置していいでしょうか。
A 質問者は画像検査による推定診断です。確実な診断には腫瘍の一部を採取する必要がありますが取り除くのとほぼ同じ手術が必要です。症状が出ないこともあるのでそのままにしておくのも一つの選択肢です。ただ良性の腫瘍とはいえ時間とともに大きくなる傾向があり、もう少し長い期間の追跡が望ましいでしょう。私の場合、疑われる時や手術の後も1、3、5年後の追跡検査をしています。