承継
軌跡

(生い立ち)

1875年明治8年)、長崎県壱岐商家に生まれた。二代目安左エ門の長男で、幼名は亀之助[1]。故郷の印通寺浦は天然の良港をなしていて、安左エ門が生まれたころまでは商業地で、壱岐の首都的存在だった[2]。祖父は京阪神地方との交易、酒造業呉服雑貨・穀物の取り扱い、水産業など手広く事業を営んでいた[3]。幼名の亀之助時代の思い出のなかで印象に残るのは祖父母、父母、親戚一統から非常にかわいがられて育ったということだった[1]

(エピソード)

ピンチをくぐり抜けるたびに成功のヒントを掴んだ。明るい性格で美男だったことから女性関係も派手であったとされる。作家の梶山季之が財界人たちに「小説にしたら面白い人物は誰か」と尋ねたところ、多くは松永の名を挙げたという。

産業計画会議での松永の現場視察は大臣や高級官僚のものとは違い、自動車が入れないような場所にある粗末な小屋に泊まり、ドラム缶の風呂に入り、第一線で働く工事現場の人たちの苦労を自らの体で味わうという、徹底した現場主義であった。